先日、帰宅途中にぎゅうちゃんがダイナミックに転んでおでこを打った。
痛さに悶えるぎゅうちゃんに、
『冷えピタ』
を貼ってやった。
『冷えピタ』とは、貼れる冷却ジェルシートの事で、我が家はよく愛用している。
しばらくは『冷えピタな俺。』を楽しんだぎゅうちゃんだが、ずり落ちてきて邪魔になったらしく『いらない。』と申告してきた。
すかさずパープーが冷えピタを貰いに行く。誰かに欲しがられると手元から離れるのが急に惜しくなるぎゅうちゃん。冷えピタを守り抜き、パープーには渡さなかった。
使用済みの冷えピタが欲しくて欲しくて泣き叫ぶパープー。
仕方なく新しい冷えピタを出してやった。
パープーはとても嬉しそうに冷えピタで遊んでいた。
これでおとなしくなったと思ったのもつかの間。パープーがまた泣き出した。
今度はどうした?とパープーのそばに行くと、新しい冷えピタに、
ティッシュが大量に張り付いていた。
いやー。これは取れないよー。
と諦めさせようとするも、張り付いたティッシュをパープーは必死で取ろうとしている。
・・・・・。
パープーが、今までこんなに何かに夢中になることがあっただろうか。二年間パープーと一緒に過ごしてきたが、こんなに一生懸命な姿は初めてだった。
パープーは熱心に作業を進め、ティッシュも若干しっとりしてきたのか、妥協点まで剥がすことに成功した。その後もパープーは、
冷えピタをまるで宝物かのように持ち歩き、愛し、貼ったりはがしたりを楽しんでいた。
冷えピタと一緒に寝ようと、大好きな毛布にくるまろうとした時、事件が起こった。
『アタシノヒエピタガナイ!!』
毛布にくっついてしまったのか、冷えピタが無いのだ。探してやったがどこにも見つからない。パープーは泣きながら寂しい夜を過ごした。
翌朝、食器棚に無くしたはずのパープーの冷えピタが張り付いていた。
早速冷えピタを渡すと、パープーはとても喜び少し遊んで、
サッサとゴミ箱に捨てた。
あんなに好きだったのに・・・。愛していたのに。
昨日はまるでスポットライトを浴びたアイドルのようにもてはやされた冷えピタが、今はゴミ箱の中で他のゴミにくっついている。
ママさん。寂しい。寂しい。
と私に語りかけているかのようだ。何だかとても、切ない気持ちになった。
後日、パープーはみずみずしい若い冷えピタを手に入れると、撫でながら優しくまた、愛を語っていた。